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私がウェブサイトを立ち上げた理由

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私がウェブサイトを立ち上げた理由

 私がバセンジーのファンコーニ症候群などという数少ない犬種の数少ない聞きなれない遺伝疾患を診るようになったのには訳があります。
私はもともと身体をひとかたまりとして見る全体医療に関心があり、そのため代替医療を積極的に診療に取り入れていました。
身体の悪くなった部分だけを見てそれを取り除くという西洋医学的考えに対し、どこか一ヶ所の不具合は心身全体に影響するというどちらかというと東洋医学的考えと言えるかもしれません。
それは西洋医学的治療だけでは限界があると感じることが多かったからです。
病気だけを診るのではなく、病気を起こしている患者動物丸ごとを治療したいと願ったからかもしれません。

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獣医師:黒田美奈子
大阪府立大学農学部獣医学科卒業後、同附属病院にて研修。
現在、兵庫県西宮市クーパー動物病院の院長を勤める。
2010年頃よりホメオパシーなどの代替医療を診療に積極的に取り入れ、これまで30頭以上のファンコーニ症候群のバセンジーを診察治療してきた。
クーパー動物病院

2010年頃よりホメオパシーなどの代替医療を診療に積極的に取り入れ、これまで30頭以上のファンコーニ症候群のバセンジーを診察治療してきた。
クーパー動物病院

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 その代替医療を求めて、最初のバセンジーが私の病院にやってきたのは5-6年前も前だったでしょうか。
多くのバセンジー同様診断はついていたものの、主治医は関心が薄いようで、飼い主は病院へは血液ガスを測定に行くだけで、治療はプロトコールを読んで自分で行っていました。私も当時はそのような数少ない治らない遺伝疾患に時間を費やすことができない(と考えていた)獣医師の一人にすぎません。
飼い主の求めに応じて、代替医療でなんとか役に立てればと思っていましたが、(血液ガスを測定している)主治医がいるからと深入りすることはありませんでした。
もっともその当時私は血液ガス測定器を持っておらず、治療は無理という気持ちもありましたが、それが自分を正当化している部分もあったかもしれないと今は思います。

 それから1年ほどして、その飼い主の熱意にほだされ、色々な会社の血液ガス測定器のデモを片っ端から始めました。
(ただまだ導入すると決めていたわけではなく、あわよくばその時には1回測定できるという考え程度でした。)

そんな時にファンコーニ症候群の末期と思われるバセンジーが、私の病院を訪れたのです。
他の病院で診断がつかず、結果的には誤った治療を受けていたこともあり、私と出会った時にはもう末期でした。

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 ファンコーニ症候群ではないかと気づいたのは、残念ながら獣医師ではなく犬の飼い主の方でしたが、通っている病院でファンコーニ症候群のことを告げても治療方法は今までと変わらず、ファンコーニ症候群の治療経験がある(大変お粗末な治療経験だったのですが)私の病院を訪れてくれたのです。 たまたま血液ガスのデモ機を借りていた私は、幸運にもすぐに血液ガス検査を行うことができ、治療プロトコールを改めて読み込み、その治療プロトコールを書いた本人に恥も外聞もなくいきなりメールで質問責めにしました。
結果的には4日目に静かに息を引き取ってしまいましたが、これまで診ていた代替医療のみを処方していた一見元気に見えるバセンジーとのあまりのギャップにかなりショックを受けました。
病名が半年前にわかっていたのに治療方法は何も変わらず、発症してからわずか10ヶ月の命でした。
この病気は、こんなにもあっけなく、そして6歳という若さで死んでしまう病気だったのかと始めて気づかされました。
治療プロトコールには、良好なコントロールならば、他のバセンジーと同様の寿命を全うできるとあったので、疾患はゆっくりと進行するものと思い込んでいたのです。

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こうして血液ガスのデモ機の最中にファンコーニ症候群のバセンジーがやってきて死亡したことは、私をこの病気の治療に駆り立てる大きな一歩となりました。
治療プロトコールを作成したゴントー医師からの情熱あふれるメールでのアドバイスもまた私に大きな影響を与えました。
今から思えば、どうやってももう助けられない状況だったのですが、診断がついていながら、ファンコーニの治療を何一つ受けてくることができなかった目の前にいるバセンジーと飼い主に、獣医師の一人として何か役に立ちたかったのです。
血液検査の結果はかなり改善したものの助けることはできませんでした。
全ての報告を終えた私にゴントー先生からのメールには、(このバセンジーが、このような検査結果の状態で)、正直こんなに頑張るとは思っていなかった。
バセンジーは本当に小さな(病気と闘う)ファイターなんだとありました。
私の質問に本当にすぐに返信してくださったゴントー医師の姿勢、小さなバセンジーの頑張り、そのバセンジーを連れてきてくれた飼い主と最初のファンコーニ患者の飼い主のあきらめない熱意、どれもが私の臨床獣医師としての魂を揺さぶることとなったのです。
最終的にはその時にお借りしていたIDEXX社の血液ガス測定器を購入するに至ったのですが、その時にはこの高価な検査機械の導入に見合うほどのバセンジーがやってくるとは思いもしませんでした。

私が多くのこの疾患のバセンジーたちの治療から学んだこと、治療を始めた頃にわかりにくかったことなどをウェブサイトを通じて獣医師の方々と共有することが、ささやかながら次に私がなすべきことかと思い至るようになりました。
それから数年が経とうとしていますが、ようやくこの度、獣医師を対象としたファンコーニ症候群の医療サイトを立ち上げるに至りました。このサイトには、世界でのファンコーニ症候群の情報と、日本でのファンコーニ症候群の情報を集め公開して行きたいと考えています。
ファンコーニ症候群、特にバセンジーの遺伝疾患についての日本の獣医師に対する医療情報普及を目的としているため、あえて専門用語をそのまま掲載しています。
飼い主の方にはわかりにくい、時には難しいということもあるかもしれませんが、その点はご理解ください。
また、記載内容についてお気付きの点があれば、ぜひお知らせください。

最後にこのウェブサイト開設にあたり、私が多くのバセンジーたちと、そしてファンコーニ症候群と関わるきっかけとなった最初のバセンジー患者、花ちゃんと飼い主様、私にファンコーニの病気の本当の姿を教えてくれたバセンジーのジョピちゃん、血液ガス検査について多くのアドバイスをくださったIDEXX社の学術の皆様、動物臨床医学会年次大会でファンコーニ症候群の講演の機会をくださった獣医泌尿器学会、桑原康人先生、InfoVets編集部の中森あづさ様にはファンコーニ症候群特集の機会をいただき、獣医師の方だけでなく多くのファンコーニバセンジーの飼い主が購入したと耳にしています。
そして、医師でありながら多くの時間を割いてファンコーニ症候群へのサポートをボランティアで数十年続けてこられたゴントー医師からは、患者に接する姿勢と医療的な示唆を頂きました。
もちろん私が出会ってきた全てのバセンジーや後天的ファンコーニを疑い来院した患者さんたち、メールで多くの情報を寄せてくださった顔を知らずともつながっていた飼い主の皆様に、心より感謝 の意を表したいと思います。

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医療従事者の方向けfor Health Care Professionls

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獣医療関係者の皆様とファンコーニ症候群に関する情報や共有を目的としているため、一般の方々への医学的なアドバイスや使用方法等を説明する目的のものではございませんのでご了承下さい。